ぷんおの重箱隅つつき

映画やドラマから垣間見る生活文化の考察

ピザ!|あらすじ感想【インド映画】

ピザ!(字幕版)

題名:「ピザ!」(Kaakkaa Muttai/The Crow's egg)
公開日:2014年作(2014年9月5日に第39回トロント国際映画祭で世界初公開) 
監督:M・マニカンダン
キャスト:ラメーシュ、Jヴィグネーシュ、アイシュワリヤー・ラージェーシュ、ラメシュ・トヒラック他

【ストーリー】
南インド・チェンナイのスラム街に住む兄弟。家族は母親と祖母と刑務所にいる父親。
ある日念願のテレビが家にやってくる。(貧困者への政府からの支給品)そこに映し出されたCMの美味しそうな未知の食べ物「ピザ」に釘付けになる。
近所の空き地にそのCMのピザ屋が建設された。開店には超有名俳優のシンブがやってきて更に食べたい思いがつのる。
兄弟は家計を支えるために学校へ行かず毎日線路に落ちている石炭を拾い集め換金し家に入れていたが、ピザを食べる夢を叶えるために母親に働いていないと嘘をつき家に入れるべきであるお金をこっそり溜め込む。
ピザを買うお金が貯まり店に行くが門前払い。自分たちの服装が汚いため入店を拒まれたのだと思い新しい服を買うために更にお金を稼ぐ。
お金を手にし服を買いにショッピングセンターに行くが、立派な建物を目の前にして自分たちが足を踏み入れてはならない場所である空気感に気づく。同じ年頃の少年たちのおかげで服を手に入れることに成功する。
再びピザ屋へ行く兄弟。新しい服を着てお金を持っているのに平手打ちにされ追い返される。がっかりして家に帰るとお婆ちゃんが亡くなっており罪悪感にさいなまれる。
仲間たちがピザ屋での出来事を面白半分で録画していた。その中の平手打ちシーンに気づいた大人がそれを元に一儲けとピザ屋を強請りにかかる。話が公になれば児童虐待や差別問題から大問題になると高額で動画の買取に応じるが、話がまとまる寸前に目先の欲にくらんだバカな大人が激安でマスコミに売り渡してしまう。
この動画はニュースで扱われ問題になる。肝心の兄弟は家出。母親と警察で捜索し少年たちを保護し車に乗せる。
着いたところはピザ屋の前。そこにはレッドカーペットが敷かれ開店時の大俳優を迎えるような歓迎を受ける兄弟。カメラのフラッシュを浴び初めてピザを食べる兄弟。その味は想像していたよりも・・・。

【感想】
兄弟の娯楽といえば広場の木に巣作っているカラスの玉子を盗むスリルとチュウチュウすることくらいで後は学校へも行かず石炭拾い。そういった可哀想と思える生活なのだが、周りの住人がみな貧乏なのでそれが当たり前といった感じで悲壮感はない。
だが、テレビが家に来て様々な情報が流入してきたり、いつも遊んでいた自分たちのテリトリーにスラム付近には似つかわしくないピザ屋が建設されるなど子どもたちの興味をそそる物事が起こり、今まで暗黙の了解で線引されていた貧富の見えない区切線が揺らいでいく。兄弟たちは蔑み(入店拒否)に対しても逆恨みすることなく知恵を絞り勤勉に働くことで解決を試みる。
結果的には大人が体裁を保つために偽善招待と綺麗にまとめたが、兄弟があれほど憧れたピザの味はクソ不味く、散々こき下ろした亡き祖母がピザをねだる2人のためにドーサ(クレープ状のインド料理)をピザに見立てもののほうが美味しかったねと顔を合わせ無邪気に残すという爽快さ。

良くも悪くも貧困層の機転のきかせ方が面白かった。儲かりそうな話のスキあらばスルッと入ってきてちゃっかりせしめるずる賢さ。兄弟が新しい服を手に入れるために取った手段も面白く、富裕層の子が物欲しそうに見ていた不衛生な露天の食べ物を代わりに購入し彼らが買った服と取り替えるという機転。がめつい(笑)

【評価】
★★★★☆
兄弟や家族の様子が社会への強い反感も感じさせず淡々と描かれている。逆にその恨みの薄さや当たり前感がインドの社会差別がそう簡単になくならないであろうことと感じさせられた。時間も100分以下なのでオススメです。
Amazonプライムビデオにて視聴。

ピザ!(字幕版)

ピザ!(字幕版)

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